画面ではなく、肌の触れ合える距離で。生き残りをかけた音楽戦略【インタビュー:ミュージシャン 近田心平】Vol.2

スポンサーリンク

海外ではライブハウスやバーでミュージシャンの生演奏を聴くという機会はわりと豊富に用意されており観客も多いのですが、日本では一部の音楽好きの人たちを除くとライブハウスに通う、あるいはライブハウスに行ったことがあるという人は激減してしまいます。観客のパイが世界と日本とでは違うんですね。

●前回の記事「全国を旅して歌うミュージシャンが選んだ音楽のカタチ」はこちら

はい、というわけで実は陰でミュージシャンにインタビューしていました。今もし続けています。インタビューに付き合ってくれてありがとう! うん、た...

というわけで今回も近田心平さん(以下、しんぺーくん)に話を聞いていきながら僕もベラベラ話していきます。

インタネット配信ではなく、生のライブで

音楽で成功する、プロ入りするための道というのは以前はライブハウスでスカウトされるというものが主流でした。ただ今は発信の場所が増えている分、デビューの仕方も多様化しています。事務所やレコード会社に所属せず、ニコ生やYouTubeで生計を立てながら成功を目指すといった人たちもたくさんいるわけです。

また、はっきり言ってプロなんか目指していないよ、という人たちもたくさんいます。それは前述のニコ生やYouTubeの登場で、無名な人であっても発信者としての場所を得られたということが関係しています。今の生活を維持しながらそこで音楽活動ができればいいんだ、という思いで最初からネット限定の活動を選ぶ人もいますし、昔は音楽をやっていたけれど家族ができたり仕事が忙しくなったことでバタバタしてしまい音楽活動ができなくなった人たちのカムバック場所としても使われていたりします。

しかし、しんぺーくんが目指した場所は彼らとは別の”音楽活動の場所”でした。

近田心平:

「27歳になった僕は、いろいろな活動を模索していました。
確実なマニュアルは当然ない世界であり、正直不安しかありませんでした。(今もですが)

その中で自分が一番、表現者としてリアルでいられる場所はやはり「ライブ」でした。
それも顔の見れる範囲での。」

インターネットの世界では味わえない生の音楽体験で得られる魅力を、しんぺーくんは求めていくと決めたわけです。

スポンサーリンク

儒教と共有のアンバランスさ

前回のインタビュー記事でも少し触れましたが、ライブ会場でパフォーマンスをするアーティストの数に比べて、それを鑑賞する観客の数は圧倒的に少ないです。

実際に本格的に音楽活動を始めた当時のしんぺーくんも以下のように感じていました。

近田:

パイが飽和していると数年の活動で実感しました。

出演する人とライブを提供するお店(ライブハウス、ライブバー)はどんどん増えていますが、
純粋なお客さん(自身は演奏しないけれど週末にライブハウスで、名もないアーティストの演奏を楽しむ人)の
数は一向に増える気配がありません。

有り余るミュージシャン達がわずかな数の熱心なファンの取り合いをしているような状況になっていました。

ただ、近年ネットでの音楽配信、ライブ配信が可能になったことでさらにその減退スピードが加速しているかどうかというと、これは調べてみないとわからないと思います。ネット配信で人気を博しているアーティストの多くはそういったネットインフラを活用したコンテンツ配信をする傍ら、ライブ会場での生演奏もしていることが多いですからね。ネットインフラを活用している分、SNS等の集客力も強いわけです。

もちろん顔出ししない人はそういう活動も難しいだろうけれど、それでもやっている人はいます。

要するに過去の顧客がやっていた【ライブ会場】→【ネット】というライブ会場からお気に入りのアーティストを見つけてサイトをフォローしようという流れから、

それとは逆に、まずはお気に入りのアーティストをSNSで見つけてファンになったら会場にライブを見にいくという【ネット】→【ライブ会場】の流れに変わってきただけなのではないか、というのが僕の推察です。

またこの推察が正しいのであればライブハウスに通うよりも無料でネット視聴する方がリスナーとしてははるかに行動のハードルが低いので、全国的に見ればライブハウスの集客力は上がっている可能性すらあります(立地のこともあるので一概には言えないのですが)。

つまり全国のライブハウスを渡り歩き、そこで仲間たちとコネクションを築きながら経験を得てフォロワーを獲得する方法というのは、苦労は多いとしても、そこまで絶望的なマーケティングではないように思います。さらにもうひとつネックなことを言えば、この方法だとお金と時間が多くかかってしまうということですね。

ただこの点についてはしんぺーくん自身も承知の上でやっているので、お金を貯めながら、時には帰郷しながら活動していっているという感じです。というか音楽活動は昔からそれ自体がお金のかかるものなんですよね(ギターの弦なんて何度張り替えなくちゃいけないことか…)。

また当たり前ですが、ライブ会場で面と向かってコミュニケーションを交わした方がフォロワーとの結びつきも固いものにしやすいというメリットもあります。もちろんスカウトの人とも出会う機会が多いでしょう。

ネット配信が拡散型ならライブハウス巡りは狙い撃ち型の音楽活動といった感じですかね。近年有名になったsumikaもライブ活動を中心に行ってきましたし。それに旅をしながらでもネット配信は十分に行えるような環境と技術が日本にはすでに整っていますからね。要はライブもするしネット配信もするという形が最強なのだと僕は思います。

何より、全国を旅しながらいろいろな人や文化と触れ合い、自分の音楽を布教していく日々はきっと楽しいのだろうなと思います。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Twitter で